Dr. ピアニスト大野真理子の公式ブログ

均一調整派?

442Hzのピアノの調律の音に大分慣れてきたこの頃、コンサートの打ち合わせで、
調律の話に。

「調律、どう致します?」。
「費用がかかるのなら、なくても大丈夫ですよ」、と私。
「ホールで決められておりまして、お願いしなければならないのです」。

日本で行われるコンサートはさすがである。調律されていないピアノでのコンサートを聴く事は、ほとんどないであろう。普段からよく調整された、素晴らしい楽器が置いてあるとわかっている日本のホールで演奏する事は、調律がなくてもそれほど怖くはない。一方、英国では、メージャーホールでの演奏会を除き、「第何回、、、音楽祭」と名の付くコンサートですら、調整、調律のされていないピアノが用意されていることがある。与えられたリハーサルの時間内で、ピアニストは自分の耳だけを頼りに、できる限りの良い響きを探るのである。

ある日、そんな英国で、調律付きのコンサートを受けることになった。調律師はスタインウェイのベテランテクニシャンである。誰に聞いたものか、ホロヴィッツはピアノの調律にそれぞれの音域の特徴をいかした、均一ではない調整を望んだという話が頭を過る。私はこの時とばかりに、一度言ってみたかった、このお願いを調律師に伝えた。

その日のコンサートは、ピアノをコントロールするために、必死。ピアノが音域によって全く違う鳴りをする。高音部はより華やかに、中音部は繊細に、そして、低音部は深い響きがさらに増しており、音量も前より豊か。腕利きの調律師により完璧にコントロールされた同じピアノから出る全く違う響きを、その時、初めて経験したのであった。それ以来、私は均一調整派。自分の好みの調律が本当に分かる様になるまで、まだまだ時間がかかりそうである。

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